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毎日、元カレのblogをチェックする。 あたしのことしか書かれていないblogを。
今日の更新は2時間前。20時34分。
大抵は、その日のあたしの行動が書いてあるだけだった。 けれど時々、これから行くよ、と言っているんじゃないかと思えるようなものもある。 あたしが好きなお店の前を通りがかったとき。 あたしと同じ香水をつけている人とすれ違ったとき。 あたしと同じピアスをつけている人を見たとき。 あたしを連想させるものを見ると、彼は、blogにこう記す。
『なんだか呼ばれている気がした』
あたしはそれを読むたびに後悔する。 読まなければよかった、と。 そして、その記述が増えていくたびに、あたしの好きだったものがひとつ、またひとつと減っていく。 時間を確認する。 逃げ出せるなら、今すぐこの家から飛び出したい。
けれど――。 もう一度、救いを求めるように、時計を確認する。 きっと、もう、いる。
カーテンの隙間から、そっと外を見る。 通りを挟んで、1軒だけ、ポツンとあるコンビニ。 以前はよく行っていた。でも、今は行かない。怖いから。 雑誌売り場に1人の男が立ち読みをしているのが見えた。 ううん。雑誌は広げているだけ。 部屋からは確認できないけれど、雑誌を読んではいない。 だって、ほら、ページはずっと同じ。 その視線の先にあるのは、あたしの部屋。
バレないように、そっとカーテンを元に戻す。 それから、部屋の灯りを消す。 息を潜めるようにして、膝を抱えて、床に座り込む。 でかければ、つけてくる。 あたしがどこへ行くのか気になるから。 店に入れば、あたしからは見えない場所、でも彼からはあたしが見えるであろう場所にじっと立ちつくす。
彼があのコンビニにいる限り、あたしはこの部屋から見動きをとることができない。 灯りを消して、じっとしていれば、もう眠ったのだと思い、帰っていく。 でも、帰る前には必ず、あたしの部屋の前にやってくる。
コン、コン、コン、ココン。
いつも同じリズムで、同じ回数、ドアをノックして帰る。 今日も、来たよ。 そう言い残すように。 背筋が冷たくなる。でも、どうすることもできない。
一人の夜が更けていく。
夜と視線に怯えて。
朝は、まだ、遠い。