「まず木だよ、木」 言われてみれば、どの写真にも、庭の中にいろいろな種類の木が植えてある。ちょうどこの時、まるで天の計らいかのように実家の母から「庭を半分潰すことになったから、木いらない?」と電話があったばかり。
それっ、とばかりにレンタルトラックに実家の木を積み込み、さっそくわが庭予定地に運ぶ。ところが、ここでまず第一関門に遭遇。
「この木、どこに植えよう?」 くり返すが、私たちは園芸経験と知識はゼロ。 ましてやガーデン設計図なんて持ちあわしてない。 「とにかく奥から植えていけばいいって」 この時譲ってもらった、金木犀、ニシキギ、木瓜、ヒトツバタコ、メギの木たち、幹は大人の腕ほどの太さがあるうえに、しっかりと土をつけた根鉢になっていた。この木、ちょっとやそこらでは動かせないほど重い。
トラックを庭予定地の一番奥までバックさせ、最後尾に積んであった木を引きずりおろす。少し車を移動させてまた引きずりおろすという作業をくりかえすこと6回。この段階ですでにギブアップ状態。
第二関門は、木を植えるための穴掘りだった。スコップを地面につきさそうとすると、ガチンと鈍い音をたてて石にあたる。その石を取り除いても、またすぐに別の石にあたる。これではスコップで埒が明かない。 そこでスコップをツルハシに変え、なんとか地面を掘り続けると、木の根鉢がすっぽり埋まる穴ができる頃には、その横に石の小山ができていた。
「もういやだー」と投げ出したいところだが、貰った木をこのままにはしておけない。体中の筋肉が、ぎしぎし悲鳴を上げても黙々と穴を掘り続けること半日、なんとか6本の木を植える。これで、庭造りのハード作業は終って、あとは花を植えればイギリスのような庭ができると二人揃って信じていた。
だが、ああこの考えは甘かった。我が家の庭が出来上がるまでには、この先さらなる関門が待ち受けていたのだ。(そのニ Vol.4へ続く)
標高700m、周りを山々に囲まれた過疎の街に住まいを移して半年、ここでの生活がようやく落ち着いた頃、私たちは一冊の本と出合った。
「いいねぇ」 ため息をつく私と夫の前には一冊の写真集。 「こんな庭欲しいよねぇ」 私たちがうっとりと眺めていたのは、イギリスの庭園写真集だった。 写真集から目を離すと、目の前には、土留め用に植えたイネ科の草がちらほらと生えているだけの殺伐とした風景。